『死ぬほど愛して』はご覧になりましたか?
観ていない方はすぐにご覧になってくださいね。めっちゃ面白いですよ!
まさに成宮寛貴の復帰作としてふさわしい彼らしい狂気を演じきった当たり役です。
全く予備知識がなかったため、はじめは何となく「死ぬまで愛して」じゃなく何で「死ぬほど愛して」なんだろう?という素朴な疑問から観はじめました。そんな感じでしたから、はじめちょっとクソまじめなラブストーリーかな、と思って観てたところ「何やら違うぞ」と気づきます。表のラブストーリーの背後に不穏な物語が動きはじめるのです。
今回は、そんなAMEBAが放つ傑作ドラマ『死ぬほど愛して』を紹介します。
成宮復帰作ABEMAオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』解説
ABEMAにて2025年に配信されたオリジナルドラマ『死ぬほど愛して』は、表向きは理想的な夫婦の愛の物語でありながら、裏では狂気と謎が交錯するサスペンス・純愛ドラマです。全8話構成で、天樹征丸原作・草壁エリザ漫画の作品をもとにしつつ、ドラマ独自の解釈や展開が盛り込まれています。
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作品概要
キャスト、監督、脚本、主題歌を紹介します。
- 主演:成宮寛貴(神城真人)、瀧本美織(神城澪)
- 共演:久間田琳加、細田善彦、田中美久、片桐仁、松井玲奈、筒井真理子 ほか
- 監督:城定秀夫
- 脚本:ねじめ彩木、高橋幹子、吉崎崇二
- 主題歌:.ENDRECHERI.(堂本剛)「super special love」
※ちなみに監督の城定秀夫は、以前当サイトでも紹介した映画『夜、鳥たちが啼く』の監督です。こちらの映画も面白いので是非ご覧ください。
あらすじ(各話概要)
- 第1話「青い鳥」 幸せな結婚生活を送る真人と澪。しかし近所で女性記者・南沢夕陽が殺害される事件が発生。真人の表情や言動には影が見え隠れする。
- 第2話 捜査が進む中、澪のパティスリー仲間の小泉彩葉や小山田丈治がそれぞれ秘密を抱えていることが示唆される。真人の過去も断片的に語られる。
- 第3話 彩葉が“秘密を握る女”としての顔を見せ、真人との関係も浮上。澪は夫への疑念を強めていく。
- 第4〜6話 中盤では、真人と投資家・長野真澄との因縁、複数の女性関係、澪の精神的揺らぎが描かれる。さらに石黒颯馬が澪と接近し、事件解決の鍵を握る存在に。
- 第7話 澪は夫の行動に恐怖を覚え始める。石黒が介入し、真人との決定的対決の予兆が描かれる。
- 最終話(第8話) 真人は澪を自殺に見せかけ殺害しようとするが、石黒が阻止に動く。澪の心の奥底に潜む狂気が顕在化し、ラストシーンは「澪こそ一番ヤバかった」という余韻を残して幕を閉じる。
キャラクター・伏線の考察
- 神城真人(成宮寛貴):理想の夫を演じながらも、複数の女性との関係や保険金目的の裏の顔を持つ。典型的なサイコパスではなく、幼少期からの歪みと愛への執着が行動原理になっている。
- 神城澪(瀧本美織):被害者的な立場から次第に狂気を帯びていく。監督の狙い通り「最後に一番恐ろしい存在」に。
- 小泉彩葉(田中美久):脅迫や濡れ場を通じて他者の秘密を握る役割。中盤で物語を揺さぶるキーパーソン。
- 石黒颯馬(細田善彦):事件に迫る男。最終決戦の要となる存在で、澪にとって唯一“救い”を体現するキャラクター。
- 長野真澄(筒井真理子):真人の裏の関係を象徴する投資家。金と権力の影がドラマ全体を覆う。
伏線と演出の特徴
- 複数の女性関係:真人の多面的な顔を描き、澪の不安を増幅。
- 澪の狂気性:当初は無垢に見えるが、最終話で逆転する構図。
- 保険金の存在:事件の根幹に絡み、サスペンス要素を強調。
- ラストシーンの余白:澪の表情を残すことで、観客に解釈を委ねる演出。
原作との違い
- 時間構成:原作漫画では比較的ストレートに進むが、ドラマでは回想・伏線を複雑に配置。
- 澪の描かれ方:原作では“被害者”的に終わる色が強いが、ドラマ版では澪の狂気が強調され、ラストの余白を広げた。
- ラストシーン:原作と異なり、澪が「狂気の象徴」として残る構成。これにより、真人の物語というより「澪の覚醒の物語」にも読める。
※ちなみに『死ぬほど愛して』のマンガ第1巻は、Amazonのキンドル読み放題(Kindle Unlimited)に入っていれば無料で読めます。
1か月無料のお試し期間もありますので、原作が気になる方は是非とも読んでみてください。
まとめ
ABEMAドラマ『死ぬほど愛して』は、サスペンス要素にラブストーリーを掛け合わせた稀有な作品です。キャストの熱演、城定秀夫監督による大胆な演出、原作からの改変によるラストの余白が相まって、単なる推理劇ではなく「愛と狂気の心理劇」として強烈な印象を残すことでしょう。

また『死ぬほど愛して』は、単なるサイコサスペンスではなく、「愛への依存と狂気」を描いた作品だとも言えます。真人は狂気、澪は依存です。真人は典型的な加害者に見えるが、その狂気な行動の根底には“愛が欲しい”という歪んだ渇望があるのがわかります。そして澪もまた、真人に縋ることを愛と錯覚し続け自らの心を蝕まれ、最後には真人以上の狂気に染まってしまいます。
つまり、この物語の主題は『愛こそ狂気』です。
最後に個人的に一番印象に残っているシーンは、なんといっても真人(成宮寛貴)が見ず知らずの自転車に乗った男性を横から蹴とばし転倒させるシーンです。ありそうでない、あのシーンは最高です。真人の狂気を強く感じた瞬間でした!