ブルーハーツには、数々の名曲があります。
その中でも一番の名曲は、今回のタイトルにあるように「ナビゲーター」です。
ナビゲーターには、壮大な世界観があります。
今回は、そんな後世に残したい名曲「ナビゲーター」を徹底解説します。
ブルーハーツのナビゲーターとは
そもそもナビゲーターはシングル曲ではありません。
その為、多くの人には知られていない歌だろうと思います。
アルバム「Bust Waste Hip」
ナビゲーターは、こちらのアルバムの一番最後に収録されています。
このアルバムの中で一番有名なのは、ドラマ「ハイスクール落書き」の主題歌になった「情熱の薔薇」だろうと思います。当時、高校生だった私もこの青いジャケットのCDアルバムを購入し毎日聴いていました。最初は多くの方と同じように「情熱の薔薇」目的でしたが、いつのまにかナビゲーターだけリピート再生して聴くようになっていました。
作詞・作曲
作詞・作曲は、甲本ヒロトさんになります。
ナビゲーターYouTube動画
すでに解散しているブルーハーツには、公式YouTubeチャンネルがありません。
しかし、ブルーハーツファンがupしているナビゲーターの動画があります。
ナビゲーターの歌詞の意味
まず、ナビゲーターと言えば「車のナビ」を思い浮かべる方が多いかと思います。
ナビゲーターのそもそもの意味は、navigate→航海する、という意味です。
ナビゲーターは、航海士という意味があります。
そこから、ナビゲーターには、水先案内人という意味もあります。
ナビゲーターは魂だ
特に一番心に突き刺さるフレーズは、「ナビゲーターは魂だ」という部分だろうと思います。
このアルバム含め、ブルーハーツの歌を聴いてきた人には説明はいらないかもしれません。
自分の人生の水先案内人は、自分の心や信念だけです。
もっと詳しくいえば、生命誕生の頃から受け継がれてきたDNA、数億年を生き延びてきたこの自分の魂だけという事です。
ブルーハーツの歌はすべて同じメッセージ
お手軽なマニュアル本やHowTo本などが溢れた世界です。
このような魂のこもっていない人や言葉は「全てが嘘くさい」というメッセージが、ブルーハーツの歌詞の中核になっています。
情熱の薔薇
同じアルバム内の「情熱の薔薇」の歌詞にこんなものがあります。
「見てきたものや聞いたこと、今まで覚えた全部、デタラメだったら面白い、そんな気持ちわかるでしょ?」
全てデタラメじゃないか、という事です。
リンダリンダ
ブルーハーツの名前を世間に知らしめた「リンダリンダ」の歌詞も同じです。
要約すると、汚いと思われているドブネズミですが本当は美しいかもしれないということです。
ここにも「全てデタラメなんじゃないか」というメッセージが隠されています。
その他にも、ブルーハーツのほとんどの歌には「全てデタラメ」という同じ主旨のメッセージが込められています。
ナビゲーターとその他の歌の違い
上記で見たように、ブルーハーツの歌詞にあるメッセージ性は、ほぼ同じです。
では、どこにナビゲーターが名曲といわれる理由があるのでしょうか。
それは、ナビゲーターという歌には、そんなブルーハーツの楽曲全てのメッセージの根源が歌われているからです。
ナビゲーターは全てデタラメというメッセージだけでなく、その背景にある思想を歌っているのです。
それこそが、現在のクロマニョンズというバンド名にもつながる甲本ヒロトさんの歴史観です。
さらに詳しくナビゲーターの歌詞を分析していきましょう。
恐竜時代の思い出
ナビゲーターの歌詞の中に、「恐竜時代の思い出を~歌っておくれ~いつまでも~忘れてしまわないように」という箇所があります。
現在のように人類が繁栄する以前、この地球には恐竜が繁栄していました。
↓
氷河期と共に滅びました。
↓
そのことを忘れるな、というメッセージです。
この中には、「人類だって、いつ滅びるかわからないんだぜ」という隠されたメッセージが込められています。
私の涙をビンにつめ宇宙のどこかに置きましょう
ナビゲーターの歌詞の中には、このような歌詞もあります。
「私の涙をビンにつめ宇宙のどこかに置きましょう」
ここでは、さらにはるか昔、太古の歴史まで遡っていることがわかります。
宇宙が誕生しました。
↓
地球が生れました。
↓
人類が誕生しました。
↓
自分(私)が生れました。
前述したように、恐竜と同じように人類もいつか滅ぶかもしれません。
もちろん確実に自分(私)は、いずれこの世からいなくなります。
この涙は、そんな自分(私)の記録であり記憶の意味になります。
ピリーの意味
「ナビゲーターは魂だ」の前に「ピリー」と2回歌います。
では、このピリーとは何でしょうか。
実は甲本ヒロトさんは大の読書家で、以前、タモリさんの番組に出た時「今は井上ひさしの吉里吉里人を読んでいる」と語っているくらいです。
この「ピリー」も文学作品からの発想になっています。
ビリー・バッド
それが「白鯨」で有名なアメリカの小説家ハーマン・メルビィルの遺作「ビリー・バッド」です。
ナビゲーターの歌詞の中に「どこまで続く海原よ~イカリは二度とおろさない」とあります。
ナビゲーターは航海士であり水先案内人です。
処刑された無垢な船乗りビリーを自分と重ねているのだろうと思います。
※ビリーではなくピリーというところを見ると、この小説の原型となったメルビィルの幻の詩篇「ジョン・マーと他の水夫たち」を読んだのかもしれません。
まとめ
今回は、ブルーハーツのナビゲーターを紹介しました。
「ナビゲーターは魂だ」という意味は、「ナビゲーターは人類の歴史(DNA)だ」という意味にも受取れるだろうと思います。
地球に生れ落ちた自分。
大海原を航海する船乗りに
自分の人生と人類の歴史を重ねて
「ナビゲーターは魂だ」と歌い上げた。
そんな名曲がナビゲーターだろうと思います。
もちろん歌詞や詩などはどう解釈しようと聴き手や読み手の自由です。今回は個人的にはこう思っているということを書いただけです。
それぞれの想いで聴いたりカラオケで歌ってみてください。