長らく文学フリマに向けて自作の本を自宅で作ってきた。
これは意外と評判が良かった。
ということで。
後進の貧乏文学青年の為に、そのノウハウを一挙に紹介したい。
コミケ文フリ即売会に向けて印刷~製本まで自作の本を自宅で作る方法
自分で作ると見栄えが悪くなると思っている人は多いだろうが、そんなことはない。
きちんとした工程をたどれば、業者と頼んだ本と遜色はなくなるし、なおかつ自由に作れ、味も出る。
この方法で、少なくとも1000冊以上は作ったかと思う。
本を作る工程(流れ)と必要な道具
まず、本を作る工程は4つ。
1.中身の印刷→2.表紙の印刷→3.製本→4.断裁
家でやろうと印刷屋でやろうと、同じ手順だ。
なぜ家でしないかといえば、道具がないからだろう。
つまり、裏を返せば道具さえあればできる。
次に必要な道具を列挙していく。
紙は書籍用紙
紙の種類は普通のコピー紙でもできるのだが、やはり見劣りする。
中身の紙は何といっても書籍用紙がおススメだ。
書籍用紙とは、よく見る市販の書籍に使用されているクリーム色の紙のこと。
紙の厚みは72.5kと90kとあるが、90kでは厚すぎてページめくりが悪くなる為、72.5kがおススメ。
表紙の印刷→A3まで対応のプリンター
次に必要な道具は、プリンターだ。プリンターで、ワードなどで作成した文章やイラストを印刷するだけだ。ただしA5サイズの本を作るならば、A3サイズまで印刷できる大きめのプリンターが必要になる。一度通常のA4サイズまで対応のプリンターでやってみたらすぐにわかるが、A4サイズの表紙でA5をそのままくるむと、中身の厚み分表紙が足りなくなるからだ。
個人的にはCANONのプリンターを使っていた。何とか無理してでも買っておいた方がいい。
表紙の紙→写真用紙orマーメイド紙
表紙に使う紙は、家電量販店やホームセンターでも売っているから入手しやすい光沢がある写真用紙がベター。ピカピカでキレイに仕上がるし、見栄えもいい。
もう少し凝りたいならば、何だかカワイイけど高級感あふれるマーメイド紙などを使うと良い。ちょっと個性的で本格的になる。
製本→とじ太くん
製本機はとじ太くんを使っていた。色々試したがとじ太くんが一番だ。
※ちなみに専用の表紙があるが、無地でカッコ悪いから使わない方がいい。
製本の手順
1.紙の厚さ(中身)を、定規で測る。
1mm単位で測定。

2.表紙の真ん中を紙(中身)の厚みに折る。
中身の幅と同じピッタリの幅で折ること。
30cmのモノサシなどをあてて、キチンとキレイに折る。

3.表紙の背の内側部分にホットメルト貼りつけ。
熱した時ノリが伸びてはみ出てくる。
あとから断裁する為、上下は2mm前後足りないくらいが丁度いい。

ホットメルトとは…ざっくりいうと表紙と中身をくっつけるノリ。高温で熱した時に溶けて強力なノリになり本となる。
※ホットメルトの幅は数種類ある為、本の厚みにあわせて選ぶこと。
4.中身を表紙でくるむ。
紙をキレイにそろえ、表紙の背の部分にきちんと中身を当てる。
5.背を下にしてとじ太くんに入れる。
ホットメルトを貼り付けた背の部分を熱する。
1分くらいでピーと完了の音が鳴るが、音が鳴っても30秒抜かないこと。
6.乾燥
翌日まで放置。
熱で溶けたノリが乾いて完成。
断裁
最後に断裁だ。
必要な道具は、もちろん断裁機なのだが、ホームセンターで売っているようなモノでは使い物にならない。
ちょっとした業務用の断裁機なら、100枚以上の紙でもバッサリ切れる。
断裁機で、背以外の3辺を切り落とすと、本がキレイに仕上がる。
まとめ
全部の道具をそろえても印刷屋さんに頼んだ時の1回分くらい。
なにより印刷屋に頼んだ時より自由がきく。
表紙も中身もオールカラーにできるし、デザインも自由自在だ。
ちなみに今回紹介した製本方法は、無線綴じ。もし小冊子みたいなものを作りたいなら中綴じ用ホッチキスがある。コピー用紙10枚(20ページ)くらいの冊子なら、中綴じがベスト。