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勝共連合とは何なのか|旧統一教会だけでは見えない戦後日本の反共ネットワーク

勝共連合とは何なのか 書物私論

勝共連合とは何なのか。

この名前は、安倍晋三元総理の暗殺事件以降、旧統一教会問題とともに再び注目されるようになった。報道では、旧統一教会の関連団体、あるいは政治団体として語られることが多い。

それは間違いではない。

しかし、勝共連合を「旧統一教会の関連団体」とだけ理解すると、半分しか見えてこない。

勝共連合とは、旧統一教会の反共思想と、日本の保守政治、右翼人脈、韓国の反共体制、さらにアメリカ主導の冷戦秩序が重なった場所に生まれた政治運動体である。

そこには、文鮮明、久保木修己、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫といった名前が並ぶ。

つまり勝共連合を知ることは、ひとつの宗教団体を見ることではない。戦後日本の保守政治が、なぜ旧統一教会と接点を持ったのか。その奥にあった反共という巨大な思想装置を見ることである。

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勝共連合とは何か

勝共連合の正式名称は、国際勝共連合である。

「勝共」とは、文字通り、共産主義に勝つという意味である。冷戦期において、共産主義を最大の敵とみなし、それに対抗する思想運動・政治運動として展開された。

まず韓国で1968年に設立され、その後、日本でも同年に設立された。日本での初代会長は、旧統一教会日本会長だった久保木修己である。そして名誉会長には笹川良一が就いたとされる。勝共連合の公式サイトも、1968年1月に韓国で、同年4月に日本で創設されたと説明している。

ここで重要なのは、日本での勝共連合が、最初から宗教団体だけで完結していなかったことである。

日本側には、笹川良一、岸信介、児玉誉士夫ら、戦後保守・右翼の大物が関わったとされる。つまり勝共連合は、旧統一教会の政治部門のような顔を持ちながら、同時に日本の右翼・保守政治の人脈とも深く結びついていた。

要点を整理すると、こうなる。

・勝共連合は、共産主義に対抗する反共政治運動体である
・思想的・組織的な核には、文鮮明と旧統一教会があった
・日本では、久保木修己が初代会長となった
・笹川良一は名誉会長として関わった
・岸信介、児玉誉士夫ら戦後保守・右翼人脈とも接点を持った

つまり勝共連合は、単なる宗教団体ではない。
宗教、政治、右翼、冷戦が混ざった組織だった。

なぜ旧統一教会だったのか

では、なぜ日本の右翼や保守政治家は、韓国発の旧統一教会と結びついたのか。

ここを理解するには、当時の時代状況を見なければならない。

1960年代後半の日本では、学生運動、労働運動、反安保運動、社会党・共産党の影響力が強まっていた。世界的にも、ベトナム戦争、米ソ冷戦、中国の台頭、北朝鮮との緊張があった。

この時代、日本の保守・右翼にとって最大の敵は共産主義だった。

一方、韓国は北朝鮮と直接向き合う反共国家である。旧統一教会もまた、強い反共思想を掲げていた。文鮮明の統一教会は、宗教団体であると同時に、国際的な反共運動の組織力を持っていた。

日本の右翼にとって、統一教会はこう見えたはずである。

・反共を強く掲げている
・若い信者を動員できる
・韓国、アメリカ、日本をまたぐ国際ネットワークを持っている
・宗教団体であるため、政治団体とは別の形で社会に入り込める
・日本の古い右翼にはない組織力を持っている

逆に、統一教会側にも日本の保守・右翼と組む理由があった。

日本で政治的影響力を持つには、教団だけでは足りない。そこで必要だったのが、岸信介や笹川良一、児玉誉士夫のような人物の人脈と信用である。

つまり、両者は互いに必要としていた。

日本の右翼・保守は、統一教会の組織力と国際性を必要とした。
統一教会は、日本の政界・右翼人脈への入口を必要とした。

その接続点が勝共連合だった。

岸信介・笹川良一・児玉誉士夫

勝共連合を語るうえで避けられないのが、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫である。

この三人には共通点がある。

戦前・戦中の日本国家に深く関わり、戦後にはA級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに収容された。そして釈放後、戦後日本の保守政治や右翼人脈の中で再び影響力を持った。

岸信介は、戦後に首相となり、日米安保体制を進めた人物である。
笹川良一は、競艇と日本船舶振興会、現在の日本財団を通じて巨大な公益資金装置を作った人物である。
児玉誉士夫は、政財界、右翼、裏社会をつないだフィクサーとして知られる人物である。

この三人が勝共連合と接点を持つことは、偶然ではない。

彼らに共通していたのは、反共である。

戦前の国粋主義は、戦後になると、冷戦期の反共保守へと姿を変えた。日本の古い右翼は、敗戦によって一度は力を失った。しかし、冷戦が始まると、アメリカにとっても日本の反共保守は利用価値を持つようになった。

その中で、岸、笹川、児玉のような人物は、戦前から戦後へと生き延びた。

勝共連合は、その人脈が統一教会と接続した場所だった。

関連記事:笹川良一とは何者だったのか
関連記事:児玉誉士夫とは何者だったのか

韓国の反共体制と勝共連合

勝共連合は、日本だけの話ではない。

むしろ、出発点は韓国である。

韓国は、朝鮮戦争を経験し、北朝鮮と軍事的に対峙していた。朴正煕(パク・チョンヒ)政権下の韓国では、反共は国家の中心思想だった。その韓国で生まれた統一教会が、反共思想を掲げ、日本やアメリカへ運動を広げていった。

ここで見えてくるのは、単なる宗教運動ではない。

韓国側にとって、統一教会や勝共運動は、反共国家としての思想戦を国外に広げる装置でもあった。アメリカ下院のフレイザー委員会報告書は、文鮮明系組織の反共活動の中心的な組織が国際勝共連合だったと位置づけ、また韓国KCIAとの関係も問題視した。

つまり、勝共連合はこういう構造を持っていた。

・韓国では、北朝鮮と対峙する反共国家体制があった
・統一教会は、強い反共思想を掲げていた
・韓国側の情報機関や政治権力とも接点が指摘された
・日本では、岸・笹川・児玉ら保守右翼人脈が受け皿になった

勝共連合とは、日韓の宗教交流ではない。
冷戦下の反共政治が、宗教団体を通じて国境を越えたものである。

アメリカの影はあったのか

勝共連合をたどると、当然アメリカの影が見えてくる。

日本と韓国は、いずれも冷戦期の米軍基地国家だった。日本はアメリカの東アジア戦略の拠点であり、韓国は北朝鮮と対峙する最前線だった。

この構造の中で、アメリカは日本・韓国・台湾の反共勢力を重視した。CIAが日本の保守政治に資金支援を行ったことも、のちに報道されている。つまり、東アジアの反共ネットワークは、アメリカの冷戦戦略と切り離せない。

ただし、ここで注意が必要である。

「CIAが勝共連合を直接作った」と断定できる公開証拠は弱い。
だが、勝共連合がアメリカ主導の冷戦秩序の外側にあったとも言えない。

安倍元総理暗殺後に再び見えたもの

2022年7月8日、安倍晋三元総理が銃撃され死亡した。

この事件をきっかけに、旧統一教会と政治家との関係が一気に社会問題化した。そしてその中で、勝共連合の名前も再び注目された。

安倍晋三は、岸信介の孫である。岸信介は、戦後保守政治と反共人脈の中心にいた人物だった。その岸の系譜にある安倍元総理の死によって、長く地下にあった旧統一教会、勝共連合、自民党右派、反共保守のつながりが表に出た。

ただし、これは「安倍元総理の死で勝共連合の系譜が途絶えた」という話ではない。

むしろ、露出したのである。

長く政治の地下を流れていた配線が、事件によって一気に見えるようになった。

国会でも、国際勝共連合が旧統一教会の関連団体にあたるかが問われ、岸田首相は「関連団体だと思っております」と答弁している。

これは、勝共連合が過去の名前ではなく、現在の政治問題として再浮上したことを意味している。

勝共連合は統一教会だけなのか

改めて問う。

勝共連合は、旧統一教会だけなのか。

答えは、違う。

たしかに、思想的・組織的な核には旧統一教会があった。文鮮明の反共思想、久保木修己ら日本統一教会側の活動がなければ、勝共連合は成立しなかった。

しかし、それだけでは日本の政治中枢には入り込めない。

そこに、岸信介、笹川良一、児玉誉士夫らがいた。自民党右派、保守政治家、右翼人脈、財界人、右派言論人がいた。韓国側には、反共国家としての体制があった。さらにその上には、アメリカ主導の冷戦秩序があった。

つまり勝共連合とは、旧統一教会の別名ではない。

まとめ|勝共連合とは戦後反共の交差点だった

勝共連合とは何だったのか。

それは、単なる宗教団体ではない。
単なる右翼団体でもない。
単なる韓国発の運動でもない。
単なる自民党との癒着問題でもない。

勝共連合とは、冷戦期の反共という一点で、旧統一教会、日本の右翼、保守政治家、韓国の反共体制、アメリカの東アジア戦略が重なった場所だった。

だからこそ、問題は根深い。

旧統一教会だけを見ても足りない。
自民党だけを見ても足りない。
岸信介だけを見ても足りない。
笹川良一や児玉誉士夫だけを見ても足りない。

それらが、反共という言葉のもとに結びついたことを見る必要がある。

戦後日本は、敗戦によって一度断ち切られたように見えた。しかし実際には、戦前の右翼人脈は、冷戦の中で反共保守として再利用された。その受け皿のひとつが勝共連合だった。

安倍元総理の暗殺事件によって見えたのは、ひとつの宗教団体の問題だけではない。

戦後日本の奥に、長く埋まっていた反共ネットワークの配線である。

勝共連合とは、その配線がもっともはっきり見える接続点だった。

勝共連合をさらに知るには、読む資料の立場を分けた方がいい。

まず、勝共連合が自分たちをどう語っているのかを知るなら、『勝共連合かく闘えり 半世紀の歩みとこれから』がある。これは国際勝共連合自身による運動史であり、批判的検証本ではない。だから、勝共連合が自分たちの思想、歴史、役割をどのように位置づけているのかを知る資料として読むべき本である。

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一方で、旧統一教会と政治の関係を外部から検証したい人には、鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』が入口になる。勝共連合そのものだけでなく、旧統一教会が日本政治の周辺にどう入り込み、自民党政治とどのような関係を築いてきたのかを追うための一冊である。

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※この本はAudibleでも聴くことができる。

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