先日アマプラで江口のりこ主演の『愛に乱暴』を観ました。江口のりこは好きな女優の1人です。ただ星印の評価3であまり良くなかったため、それほど期待せずに観ました。
結論から言うと、見終わった後の個人的な評価は5点満点の4.5くらいでかなりの高評価です。
他の俳優さんも出演しているのですが、まるで江口のりこ熱演の極上の一人芝居を観ている気にもなりました。
今でも記憶の中に、この映画の中の主人公がいます。どこにでもいるのでしょうが目立たないから見えない、何もかもが希薄になった現代社会で真っ当に生きようとする不器用な女性です。
今回は、そんな江口のりこ主演映画『愛に乱暴』を紹介します。
正しさと狂気?極上の一人芝居!江口のりこ主演映画『愛に乱暴』の考察と解説
江口のりこ主演の『愛に乱暴』は、2024年8月30日公開の映画です。
原作
原作は、『悪人』などの作品でも知られる吉田修一の同名小説です。
監督
監督は、森ガキ侑大です。
そのほかの映画作品には、「おじいちゃん、死んじゃったって。」や「さんかく窓の外側は夜」があります。※どちらの作品もアマプラで無料配信しています。
出演者
主演は、江口のりこ。
江口のりこの夫役に、小泉孝太郎。
姑役に、風吹ジュン。
夫の愛人役に、馬場ふみか。
この4人がメインの出演者ですが、冒頭にも書いたようにほぼ江口のりこの一人芝居といっても過言ではありません。
あらすじ
夫(小泉孝太郎)と2人で暮らす主婦・江口のりこ。同じ敷地内の離れには、姑(風吹ジュン)もいます。一見、どこにでもある平凡な家庭です。ただ冒頭から夫が妻に冷たすぎる印象で、それを気にしないように平穏に過ごそうとする妻が痛々しく感じます。このあたりで夫の浮気は予想でき、案の定、夫には愛人がいるのですが…。というのが、表のストーリーとしてあります。評価が低い理由は、ストーリー重視の視聴者には、ありきたりで面白みにかけるからだろうと思います。
しかし、この映画の真の面白さは、裏のストーリーにあるのです。哲学ではなく人生の、ものすごく深いテーマが物語の底に流れています。少しミステリー要素もありますから、ここでは詳しく書けませんが、重要なファクターとして江口のりこと小泉孝太郎が結婚した経緯があります。このあたりは映画の中で徐々に明らかになっていくのですが、この最初の結婚時の過去で江口のりこ演じる女性の一見狂気にも思える不器用ながら真っ当な人生を生きたいと切に願ってきた様がわかります。
現代社会の価値観と江口のりこの価値観が違っていることも重要な要素になっています。よくある映画のストーリーでは登場人物みなの価値観が同じですから、わかりやすいのです。しかし、主人公である江口のりこの価値観は現代社会の常識とは違います。いや前時代的な常識かもしれません。彼女が求めるのは、金でも性欲でも地位や名誉でもなく、当たり前の生活であり小さな幸せです。
この映画の中には、小さな幸せを大事にして真っ当に生きているのは主人公だけです。他の登場人物は地位や金や性などの欲望を主体に生きていながら、常識を振りかざして彼女を排除しています。
それはある意味、現代社会そのものです。この映画を観て、江口のりこのような正しい女性が、今の時代では精神病を患うことが理解できました。ただ真っ当に生きていきたいだけなのです。
まとめ
今回は、江口のりこ主演映画『愛に乱暴』を紹介しました。
江口のりこは無表情ですからクールな女性役が似合います。だからこそ内に秘めた『何か』を表すのが得意な役者です。例えば『ソロ活女子のススメ』などもクールの中に『陽』を表現した女性役といえばそうでしょうし、今回の『愛に乱暴』のようにクールの中に『陰』を表現することも得意なのです。
この映画を観て、「本当の幸せとは何なのだろう?」と考えさせられました。
『愛に乱暴』はアマプラで無料で観ることができます。ぜひ、ご覧ください。