自分探しのエピローグ

自分探しのエピローグ diary

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深夜3時すぎ、街の片隅、BARのカウンター。女は32になったばかり。男はもう50になろうとしている。それが若いのか年なのか、男にも女にもわからない。

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自分探し

「高校卒業して故郷を飛び出してきた」酒を飲みすぎた女は、もう水を飲むだけだ。「年なんか関係ない」「自分探しをするためにココに来た」「若い時の苦労は買ってでもしろって嘘。苦労って報われない」さらに女は誰に言うでもなく呟いた。

エピローグ

この本のページは残りわずかだった。女は自分探しの物語を終わらせようとしている。そこにほんの少し登場したのが、この男だ。ただ物語を終わらせる役割として。

「もう本当は見つかっているんじゃないか?」

そう男がカウンター越しに並べられたウイスキーボトルを眺めながら呟くと、女は「あっ?」と発したあと一瞬にして水蒸気のように夜の街から消えていた。

あとがき

いつも思うんだが、主導権を持てない私は猟奇的な彼女の主人公のような女性としか深い関係になれない。好きだから付き合うというわけでもなく、ただ誘われたからという受け身なのだが、それが心地よいのだ。今では草食男子という言葉もすたれたか?見た目とは違い、たぶん、そういう感じなのだろう。

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