深夜3時すぎ、街の片隅、BARのカウンター。
女は32になったばかり。男はもう50になろうとしている。それが若いのか年なのか、男にも女にもわからない。
「高校卒業して故郷を飛び出してきた」
酒を飲みすぎた女は、もう水を飲むだけだ。
「年なんか関係ない」
「自分探しをするためにココに来た」
「若い時の苦労は買ってでもしろって嘘。苦労って報われない」
この本のページは残りわずかだった。女は自分探しの物語を終わらせようとしている。そこにほんの少し登場したのが、この男だ。ただ物語を終わらせる役割として。
「もう本当は見つかっているんじゃないか?」
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