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『レナードの朝』とは|実話をもとにした名作はなぜ埋もれてしまったのか

レナードの朝とは何か 映画解読
※本ページはプロモーションが含まれています

『レナードの朝』は、私が何度も観ている映画の一つである。

映画を観て感銘を受け、その後、オリヴァー・サックスによる原作も読んだ。

1990年のアメリカ映画で、主演はロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズ。

公開から30年以上が経った現在、二人の名前を知っている人は多い。しかし『レナードの朝』という作品そのものは、以前ほど語られなくなったように感じる。

個人的には、『バタフライ・エフェクト』や『オースティン・パワーズ』と同じように、評価そのものが低くなったわけではないのに、いつの間にか少し見つけにくくなってしまった映画の一つだと思っている。

しかも『レナードの朝』には、普通の映画とは少し違う背景がある。

これは小説を映画化した作品ではない。

原作は、神経科医オリヴァー・サックスが実際に診療した患者たちについて記録したノンフィクションなのである。

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『レナードの朝』とは

『レナードの朝』は1990年に公開されたアメリカ映画である。

監督はペニー・マーシャル。

ロバート・デ・ニーロが患者レナード・ロウを、ロビン・ウィリアムズが医師マルコム・セイヤーを演じた。

舞台は1969年。

神経科医セイヤーは、長期間ほとんど動くことができず、周囲との意思疎通も困難になっていた患者たちを担当することになる。

彼らの多くは、かつて流行した嗜眠性脳炎の後遺症を抱えていた。

セイヤーは患者たちが完全に外界とのつながりを失っているわけではないことに気づき、パーキンソン病治療に使われ始めていたL-ドーパに注目する。

そして最も重症だったレナードに投与する。

やがてレナードは目を覚ます。

何十年も止まっていた時間が、突然動き始めるのである。

ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズによる本作はDVD・Blu-rayなどでも発売されている。

原作は小説ではない

『レナードの朝』を映画だけで知っていると、実話を参考にしたフィクション映画のようにも見える。

しかし、その土台にあるものはかなり重い。

原作『Awakenings』を書いたオリヴァー・サックスは神経科医であり、実際に患者たちを診療していた。

20世紀初頭に世界各地で流行した嗜眠性脳炎。

その急性期を生き延びたものの、その後、長期間にわたって身体をほとんど動かせなくなった患者たちがいた。

サックスは1960年代後半、ニューヨークの病院でそうした患者たちと出会う。

そして1969年、L-ドーパを投与した。

患者たちは突然話し、歩き、笑い、周囲の世界に反応するようになった。

映画のタイトルにもなった「目覚め」である。

しかし、それは単純な奇跡の治療ではなかった。

効果は安定せず、副作用や症状の変化が現れ、患者たちは再び困難な状態へと向かっていく。

だからこの物語は「薬によって病気が治った」という話ではない。

一度失われた時間を取り戻した人間が、その時間とどう向き合ったのか。

それを医師が記録したものなのである。

レナード・ロウは実在したのか

『レナードの朝』は実話をもとにしているが、映画そのものが出来事をそのまま再現したドキュメンタリーではない。

ロビン・ウィリアムズ演じるマルコム・セイヤー医師は、オリヴァー・サックスをモデルに映画用に作られた人物である。

同様に、ロバート・デ・ニーロ演じるレナード・ロウも、実際の患者の記録をもとに映画として再構成された存在である。

つまり、

「レナード・ロウという男性に起きた実話を、そのまま映画化した」

と考えると少し違う。

実際には、多くの患者たちについて書かれたサックスの臨床記録を、映画ではレナードとセイヤーという二人の関係を中心に再構成している。

原作を読むと、この違いがよく分かる。

映画が一人の人間の物語に見えるのに対し、原作では複数の患者の人生が存在している。

映画を観てから原作を読むと、映画とはまた違った印象を受ける。

これは物語を読むというより、人間が「自分である」ということは何なのかを、患者たちの記録を通して考えさせられる本である。

オリヴァー・サックスの『レナードの朝』は、Audibleでも配信されている。

本で読むのとはまた違い、患者たちの記録を音声でじっくり追うことができる。

執筆時点では、Audible会員向けに99円で表示されている。価格や対象条件は変更される可能性があるため、購入時にAmazonの商品ページで確認してほしい。

映画を観てレナードたちの物語が残った人は、原作を読む、あるいは聴くことで、映画では描き切れなかった患者たちの「目覚め」に触れてみてほしい。

▶Amazon Audibleで『レナードの朝』を聴く

アメリカでは人気がなかったのか

以前、アメリカ人に好きな映画を尋ねられたことがある。

私は「レナードの朝」と答えた。

当然通じなかったので、英語にすれば分かるだろうと思い、

「Morning of Leonard」

というような説明もした。

それでも相手は分からなかった。

長い間、アメリカではそれほど知られていない映画なのかと思っていた。

しかし、どうやら違う。

単純に原題がまったく違ったのである。

『レナードの朝』はアメリカで無名だった映画ではない。

第63回アカデミー賞では、

  • 作品賞
  • 主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)
  • 脚色賞

の3部門にノミネートされている。

決して、一部の人だけが知る小作品ではなかった。

もしあのとき、

「Awakenings。Robert De Niro and Robin Williams」

と言っていれば、会話は違っていたのかもしれない。

原題は『レナードの朝』ではない

日本では『レナードの朝』というタイトルが定着している。

しかし原題は、

Awakenings

である。

Leonardという名前は入っていない。

意味としては「目覚め」「覚醒」に近い。

しかも複数形である。

これは原作を考えると非常に分かりやすい。

目覚めたのはレナードだけではない。

サックスが治療した複数の患者たちが「目覚めた」。

さらに映画では、患者たちと接することでセイヤー医師自身にも変化が起こる。

そう考えれば、Awakeningsというタイトルは作品全体を表している。

一方、日本の『レナードの朝』という邦題は、物語をレナードという一人の人間へと集中させた。

長い夜が終わり、朝が来る。

実際の意味とはかなり違うが、この映画にはよく合った邦題だと思う。

なぜ現在は少し埋もれているのか

それでは、なぜ現在の日本では『レナードの朝』を以前ほど見かけなくなったのだろうか。

作品の評価が急に下がったわけではない。

ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズという二人の大スターが出演し、アカデミー作品賞候補にもなった。

理由の一つとして考えられるのが、映画との「出会いやすさ」である。

現在は昔のようにテレビの洋画劇場で偶然映画を見る機会が少なくなった。

その代わりとなったのが動画配信サービスである。

『レナードの朝』はレンタルや購入など配信で見ることができるため、完全に視聴困難な作品というわけではない。

しかし、少し古い映画を探していると、そもそも主要な動画配信サービスでは扱われていない作品も珍しくない。

『レナードの朝』のように、かつて広く知られた映画であっても、配信ラインナップは固定されたものではなく、配信終了によって突然見つけにくくなることもある。

そうしたときに選択肢になるのが、DVD・Blu-rayの宅配レンタルである。

TSUTAYA DISCASでは、動画配信サービスにない旧作や過去の映画をDVDで借りられる。

▶宅配レンタルサブスク【TSUTAYA DISCAS】

配信を探しても見つからない映画を見るときには、今でも有力な手段の一つだろう。

関連記事:配信されていない映画を観る方法|『バタフライ・エフェクト』から考えるTSUTAYA宅配レンタル

この映画が単なる「奇跡の物語」ではない理由

『レナードの朝』で最も印象に残るのは、患者たちが目覚める場面だろう。

しかし、この作品の本当の重さはその後にある。

もし目覚めたまま幸福に暮らしました、で終わるなら、これは医学の奇跡を描いた感動映画になる。

そうではない。

レナードは失われた時間を知る。

レナードは、少年時代に発病し、ずっと眠っていた。

自分が若かった世界はすでに存在しない。

母は老いている。

自分自身も年齢を重ねている。

そして、ようやく手に入れた自由が永遠に続くわけではないことも分かってくる。

目覚めることは、幸福になることと同じではない。

むしろ、自分が何を失ったのかまで理解することでもある。

それでもレナードは限られた時間を熱く生きようとする。

だから『レナードの朝』は、病気を克服する映画というより、

限られた時間を人間はどう生きるのか

を描いた映画なのだと思う。

まとめ|忘れられるには惜しい映画である

『レナードの朝』は1990年の映画である。

すでに公開から30年以上が経った。

映像技術で驚かせる映画でもなければ、大きなシリーズ作品でもない。

しかし、久しぶりに観ても古さをあまり感じない。

それは、この映画が扱っているものが病気そのものではなく、人間に残された時間だからだろう。

オリヴァー・サックスが記録した患者たちは実在した。

彼らは一度、長い時間から取り残され、そして再び世界へ戻ってきた。

映画はその事実を、レナードという人物に集約して描いた。

原題は『Awakenings』。

日本では『レナードの朝』。

どちらのタイトルにも、この作品の別の側面が表れている。

最近では以前ほど名前を聞かなくなった映画だが、忘れられるには惜しい作品である。

まだ観たことがない人には映画を。

▶Amazonで映画『レナードの朝』を観る

映画を観て何か残った人には、オリヴァー・サックスの原作も読んでほしい。

▶Amazonで原作『レナードの朝』を読む

▶Audibleで原作『レナードの朝』を聴く


現在では少し見つけにくくなった映画という意味では、次の記事もあわせて読んでほしい。

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