映画やドラマで好きになった俳優が、自分のために本を読んでくれる。
Audibleで俳優による朗読を聴いていると、ときどきそんな不思議な感覚になる。
映画やドラマでは、俳優には顔があり、衣装があり、表情があり、共演者がいる。しかしオーディオブックでは、それらがすべて消える。
残るのは「声」だけだ。
数時間、ときには十数時間にわたって一人の俳優の声を聴き続ける。それは映画やドラマとはまったく違う形で、その俳優と向き合う体験でもある。
そして興味深いのは、朗読を聴いたあとである。
それまで何気なく見ていた映画やドラマでも、声の強弱、言葉といった細かな部分に耳が向くようになる。同じ俳優なのに、以前とは少し違った角度から見えてくることがあるのだ。
今回は、Audibleで聴くことのできる俳優の朗読作品を、俳優別に紹介していく。
戸田恵梨香|『母性』
最初に紹介したいのが戸田恵梨香である。
Audibleでは、湊かなえの『母性』を戸田恵梨香が一人で朗読している。再生時間は8時間56分。
『母性』は、母親の手記と娘の回想という異なる視点から、一つの出来事をたどっていく物語だ。
映像作品の戸田恵梨香を知っている人にとっても、約9時間を「声だけの戸田恵梨香」と過ごすのはかなり違った体験になる。
好きな俳優が本を読んでくれている。
Audibleにおける俳優朗読の魅力を、もっとも分かりやすく感じられる一本ではないだろうか。
藤原竜也|『リバース』
同じ湊かなえ作品では、『リバース』を藤原竜也が朗読している。再生時間は8時間30分である。
藤原竜也といえば、映画や舞台での強烈な演技を思い浮かべる人も多いだろう。
しかしオーディオブックでは映像がない。
表情も動きも封じられ、声だけで物語を成立させなければならない。
映像で知っている藤原竜也と、声だけで一冊の小説を語る藤原竜也。その違いを聴き比べること自体が、この作品の楽しみ方の一つになる。
高橋一生|『騎士団長殺し』
村上春樹の長編『騎士団長殺し』を朗読しているのが高橋一生である。
Audibleでは全4冊に分けて配信され、高橋一生がナレーターを務めている。
長編小説だけに、一人の俳優の声と長時間付き合うことになる。
映画やドラマでは作品ごとに異なる人物を演じる高橋一生だが、Audibleでは村上春樹の文章そのものを声で運んでいく。
俳優の演技力が「朗読」という形になるとどう変わるのか。その違いを感じやすい作品である。
宮﨑あおい|『スプートニクの恋人』
村上春樹作品では、宮﨑あおいも朗読に参加している。
担当するのは『スプートニクの恋人』。再生時間は9時間12分である。
約9時間、宮﨑あおいの声だけで村上春樹の世界を追っていく。
映像作品とは違い、聞き手の頭の中に浮かぶ人物や風景には決まった形がない。
俳優の声と、自分自身の想像力が一緒になって物語を作っていく。
これもオーディオブックならではの感覚である。
松坂桃李|『サラバ!』
西加奈子の直木賞受賞作『サラバ!』を朗読しているのは松坂桃李である。
Audibleでは上巻だけでも7時間48分。長い時間をかけて物語を聴く作品だ。
松坂桃李は、東野圭吾のAudibleオリジナル作品『誰かが私を殺した』にも寺島しのぶらとともに出演している。
つまり一人で小説を読む朗読と、複数キャストで作り上げる音声ドラマの両方を楽しめる俳優でもある。
堤真一|『火花』
又吉直樹の芥川賞受賞作『火花』を朗読しているのが堤真一である。
Audible公式も、堤真一による朗読であることを紹介している。再生時間は4時間25分。
映画やドラマでは登場人物の一人を演じる俳優が、一冊の小説では語り手から登場人物まで、その世界全体を声で支える。
朗読になることで、俳優という仕事の別の側面が見えてくる作品でもある。
多部未華子|『ツバキ文具店』
小川糸『ツバキ文具店』のナレーターは多部未華子である。再生時間は8時間38分。
舞台は鎌倉。小さな文具店を営みながら、手紙の代書を請け負う主人公を中心に物語が進んでいく。
激しい展開で引っ張るタイプの作品ではない。
だからこそ、俳優の声をゆっくり聴くというAudibleの楽しみ方との相性もいい。
小泉今日子|『ピエタ』
大島真寿美『ピエタ』では、小泉今日子が朗読を担当している。再生時間は10時間20分。
テレビや映画、歌で長年知られてきた人物だけに、「小泉今日子の声で10時間以上、小説を聴く」という体験そのものに独特の面白さがある。
玉城ティナ|『推し、燃ゆ』
宇佐見りんの芥川賞受賞作『推し、燃ゆ』を朗読するのは玉城ティナである。
再生時間は3時間34分。今回紹介する中では比較的短く、Audibleを初めて試す場合にも手を出しやすい長さだ。
「推す」という現代的な題材を、映画やドラマでも活動する玉城ティナの声で聴く。
作品と朗読者の組み合わせそのものを楽しめる一本である。
大塚寧々・蓮佛美沙子|『八日目の蝉』
角田光代『八日目の蝉』では、大塚寧々と蓮佛美沙子がナレーターを務めている。再生時間は13時間35分。
一人の俳優がすべてを読む作品だけではなく、複数の俳優の声で物語を追える作品があるのもAudibleの面白いところである。
岸井ゆきの|『春のこわいもの』
川上未映子『春のこわいもの』を朗読するのは岸井ゆきの。
Audible Originalsとして制作された作品で、再生時間は5時間31分である。
映像では独特の存在感を持つ岸井ゆきのが、「声だけ」になるとどう聞こえるのか。
俳優から作品を選ぶという楽しみ方がよく似合う。
松本穂香|『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』
尾形真理子の『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』を朗読するのは松本穂香。
再生時間は4時間42分である。
映像作品で知っている俳優の声を数時間続けて聴くというのは、考えてみればかなり贅沢な時間である。
→松本穂香が読む『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』を聴く
石田ひかり|『百年の子』
古内一絵『百年の子』では石田ひかりがナレーターを担当している。再生時間は12時間35分。
12時間を超える長編になると、単に「有名人が本を読んでいる」という感覚から少し変わってくる。
毎日の移動中や家事の時間などに少しずつ聴けば、何日にもわたって同じ俳優の声と物語を追うことになる。
これは2時間ほどで終わる映画とはまったく異なる距離感である。
渡辺えり|『板上に咲く』
原田マハ『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』の朗読は渡辺えり。
再生時間は6時間56分で、棟方志功を題材とした物語である。
舞台でも長く活動してきた俳優の「声の芝居」をじっくり聴ける作品としても興味深い。
→渡辺えりが読む『板上に咲く MUNAKATA: Beyond Van Gogh』を聴く
宮崎美子|『またうど』
村木嵐『またうど』を朗読するのは宮崎美子である。
田沼意次を描いた歴史小説で、再生時間は10時間31分。
現代劇の映画やドラマとはまったく異なる世界を、馴染みのある俳優の声を入口にして聴く。
これも「好きな俳優から本を選ぶ」という方法ならではである。
のん|『未来』
湊かなえ『未来』の朗読を担当するのは、のん。
再生時間は14時間34分とかなり長い。
14時間以上、一人の俳優の朗読を聴く。
ここまで来ると、映画一本を見るのとはかなり違う。
何日にもわたって少しずつ聴けば、その声そのものが生活の中に入り込んでくる。
好きな俳優を「見る」だけではなく「聴く」
映画やドラマを見るとき、私たちは俳優の顔を見る。
表情を見る。動きを見る。衣装を見る。
しかしAudibleでは、そのほとんどが消えてしまう。
残るのは声である。
だからこそ、その俳優が普段どれほど声を使って演技をしているのかが、かえって見えてくることがある。
好きな俳優の映画を探す。
好きな俳優のドラマを見る。
それと同じように、
「この俳優が読んでいる本を聴いてみる」
という選び方があってもいい。
そして数時間その声を聴いたあと、もう一度その俳優の映画やドラマを見てみる。
以前なら気づかなかった声の使い方や言葉の間に気づくかもしれない。
Audibleは本を「読む代わり」のサービスでもある。
だが、俳優が朗読する作品に限っていえば、それだけではない。
好きな俳優を、声だけで味わう場所でもあるのだ。
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「好きな俳優の朗読をちょっと聴いてみたい」
そんな人には、ちょうどいいタイミングでもある。
Audibleでは現在、Amazonプライム会員限定で、プレミアムプランを4カ月間・月額99円で利用できるキャンペーンを実施している。
通常は月額1,500円なので、4カ月利用しても合計396円。
戸田恵梨香の『母性』から始めてもいいし、高橋一生の『騎士団長殺し』のような長編をじっくり聴いてみるのもいい。
好きな俳優を「見る」のではなく、まずは「聴いてみる」。
月額99円なら、その入口としてはかなり試しやすい。
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※Audibleの配信作品、料金、聴き放題対象などは変更される場合がある。利用時にはAudible公式ページで最新情報を確認してほしい。


